台湾の演劇教育

2019/7/15@伊丹アイホール
「台湾から学ぶ演劇教育の今」というワークショップ研究会へ行ってきました。

神戸学院大学×伊丹市立演劇ホール連携企画。午前中はレクチャー・午後は実践的ワークショップというプログラムです。

海の日で祝日でしたが、青山台教室は通常通りレッスン日だったので、レクチャーだけ参加しました。

台湾は2000年の教育改革で、こどもたちのコミュニケーション能力や団体協力精神、批判思考、問題解決能力などの育成のために、演劇を公教育に取り入れました。

幼稚園での遊びを生かした全人教育に始まり、小・中・高校と進むにつれて、自発的に、他者と共に表現を楽しむことを学び、芸術的素養を身につけるカリキュラムが策定されています。

講師は台南大学藝術學院院長の林玫君さん。

向かって右が林先生。左は通訳の中山先生、このワークショップの企画を中心的に進めてこられた神戸学院大の先生です。
中山先生とは、ドラマケーション初級講座でご一緒させていただきました。

レクチャーとはいえ、まずはウォームアップ。近くの人とペアで自己紹介をした後、みんなで身体を動かします。

最初は手指だけ、そこへ肩、首、足、腰も加えて動かしていきます。
顔も動かしながら、最後に全身をグニャリグニャリ…
そこへ突然の「ストップ!」
なんだか変な格好で止まっているところへ、「あなたは何ですか?」と1人1人に先生がインタビュー。

「風です。」「カエルです。」など、みんな自分が予期せぬものになっていました。

レクチャーでは、台湾の演劇教育理論と歴史、具体的カリキュラムについて教わりました。
林先生が実際に手がけてきたワークショップの様子も、画像に実演をはさみながら見せていただきました。演劇教育で学生たちが変わっていく様子が興味深かったです。

演劇教育とは、まず即興であると語る林先生。英語教育に適用できる原則をたくさんくださいました。

●教育の場における演劇は、ドラマであってシアターではない。誰かに見せるためのものではなく、つくる過程を大切にすべき。

●はずかしさを取り払うには?
みんなが参加する=観客不在で人目が気にならない環境をつくることで、自由にリラックスして動けるようになる。

●身体に自信を持たせると心がひらく。
自分と空間との関係を理解すると、人はより自由になる。

●遊びは楽しい。楽しいと集中して参加できる。楽しいと何度でも参加できる。


台湾の演劇教育は、美しいものを楽しむ能力を育て、それを現実社会で応用、実践できる人材を輩出しようとする国家レベルのカリキュラムです。

日本の教育もコミュニケーション能力や問題解決能力育成を目的としていますが、台湾とは違った方法を模索しているようです。
芸術のもつ可能性をもっと教育に生かしてくれないかなぁと、ますます思わされる一日でした。